はじめての衝突解決リーダーシップ

はじめての衝突解決:解決策を実行した後に起こる「新たな問題」への対応ステップ

Tags: 衝突解決, チームリーダー, 問題解決, フォローアップ, チームマネジメント

衝突解決策の実行はゴールではない

チーム内の衝突に対して、話し合いを重ね、苦労して解決策を決定し、実行に移したとします。これで一件落着、と安心したいところですが、残念ながら、衝突解決のプロセスは解決策の実行がゴールではない場合も多くあります。

時には、決定した解決策を実行する過程で予期せぬ問題が発生したり、新たな意見の対立が生まれたりすることがあります。初めてチームリーダーになった方にとっては、「せっかく解決したと思ったのに、また問題が…」と戸惑いや落胆を感じやすい場面かもしれません。

しかし、このような「解決策実行後の新たな問題」への対応こそが、リーダーの腕の見せ所であり、チームをさらに強く成長させる機会にもなります。この記事では、解決策を実行した後に起こりうる新たな問題に対し、リーダーがどのように冷静に対応すべきか、具体的なステップで解説します。

なぜ解決策実行後に新たな問題が起こりうるのか

解決策実行後に新たな問題が生じるのには、いくつかの理由が考えられます。

解決策実行後の「新たな問題」対応ステップ

解決策を実行した後に新たな問題の兆候が見られたら、以下のステップで冷静に対応を進めます。

ステップ1:早期の兆候に気づく(検知)

問題が大きくなる前に、小さなサインを見逃さないことが最も重要です。

たとえ小さな不満や疑問でも、「何かおかしいな」と感じたら、それが新たな問題の芽である可能性を考慮し、注意深く見守る姿勢が大切です。

ステップ2:状況を冷静に把握・分析する(原因特定)

問題の兆候に気づいたら、感情的にならず、何が起きているのかを客観的に把握します。

【NG行動】 * 「またか」と落胆し、対応を後回しにする: 問題は小さいうちに対処する方が容易です。 * 特定のメンバーを問題視する: 問題は個人ではなく、状況やプロセスにある可能性も高いです。冷静に全体像を把握することが重要です。

ステップ3:関係者と対話する(傾聴と情報収集)

問題の状況と原因についてある程度の仮説が立てられたら、関係者と直接対話します。目的は、正確な情報収集と、問題解決に向けた協力姿勢を促すことです。

【会話例(良い例)】 リーダー:「〇〇さん、少しお話できますか。先日、〇〇の件で決めた解決策を実行していますが、少し進捗が滞っているように見受けられます。何か困っていることや、やりにくいと感じていることはありますか?」 メンバー:「実は、△△の部分が想定よりも時間がかかってしまっていて…」 リーダー:「なるほど、△△の部分ですね。具体的にどのような状況でしょうか?何か手伝えることはありますか?」

【会話例(悪い例) リーダー:「〇〇さん、あの解決策、全然進んでないみたいだけど、どうなってるの?ちゃんとやってよ。」 メンバー:「(委縮して)え、あ、はい…」

ステップ4:解決策の微調整または新たな対応策を検討する(柔軟な対応)

対話を通じて問題の状況や関係者のニーズを深く理解したら、当初の解決策をどうするかを検討します。

ステップ5:決定した対応策を実行し、経過をフォローアップする(実行と評価)

新たな対応策が決まったら、関係者と共有し、実行に移します。そして、その後の経過を注意深く見守ります。

リーダーが陥りがちなNG行動と対策

解決策実行後の対応において、リーダーが避けるべきNG行動と、その対策をまとめます。

| NG行動 | 対策 | | :--------------------------------------- | :----------------------------------------------------------------------------------------------- | | 問題が小さいうちに見過ごしてしまう | 日頃からメンバーとコミュニケーションを取り、チームの小さな変化に気づけるようにアンテナを高く持つ。 | | 「せっかく決めたのに」と解決策に固執する | 解決策はあくまで手段。状況に合わせて柔軟に見直す姿勢を持つ。 | | 問題の原因を特定のメンバーに押し付ける | 公平な立場で、状況やプロセス全体から原因を分析する。 | | 解決策の実行を指示するだけで放置する | 実行状況を定期的に確認し、困っていることがないかメンバーに声かけを行う。 | | 問題を一人で抱え込んで悩む | 信頼できる同僚や上司に相談したり、専門家(HRなど)の助けを借りることも検討する。 |

まとめ:解決策実行後の対応もリーダーシップの一部

チームの衝突解決は、解決策を決めて実行したら終わり、ではありません。解決策を実行した後に生じる予期せぬ問題や新たな摩擦に、粘り強く、柔軟に対応することも、チームリーダーの重要な役割の一つです。

初めてリーダーになった方にとっては、こうした状況に直面すると「自分の解決策が間違っていたのか」「リーダー失格なのではないか」と感じてしまうかもしれません。しかし、問題が発生することは、チームや解決策に改善の余地があることを示しており、成長のための貴重な機会です。

問題から目を背けず、この記事でご紹介したステップを参考に、冷静に状況を把握し、関係者と対話し、柔軟に対応策を見直していくこと。このプロセスを通じて、チームからの信頼を得て、より強固なチームを築いていくことができるはずです。一歩ずつ、着実に進んでいきましょう。